社内SEに必要なコミュニケーション力|ユーザー・経営層・ベンダー対応を事例で解説

転職準備・戦略

社内SEと聞くと、プログラムを書いたり、システムの保守をしたりといった「技術職」のイメージが強いかもしれません。

しかし、実際に求められるのは**技術力だけではなく、“コミュニケーション力”**です。

「黙々と作業するのが好きだから、社内SEに向いているかも」そんなふうに考えて転職を検討している方は、ぜひ本記事を読んでください。

この記事では、SIerから社内SEに転職したい方に向けて、社内SEに求められるコミュニケーション力をシーン別にわかりやすく解説します。


ふじしろ

大手金融会社で働く社内SE。
精密機器メーカー⇒超小規模SIer⇒大手SIerを経て今の社内SEのポジションにつきました。日々、自社サービスの向上に向けて楽しく働いています。子供が生まれてワークライフバランスを改善したく社内SEに転職しました。この経験を社内SEへの転職を考えている人に還元できればとの思いで当ブログを運営しています。

ふじしろをフォローする

1. 社内SEに求められるコミュニケーション力とは?

1-1. 技術以外で評価される場面が多い

SIerでは、納期通りにシステムを完成させることや、トラブル対応が評価の対象となることが多いです。

一方、社内SEは**「社内の人たちとうまくやれるかどうか」**が非常に重要です。

技術力が高くても、社内ユーザーや経営層、ベンダーとのやりとりが円滑にできなければ、仕事が前に進みません。

私もSIerから社内SEに転職してしばらくの間、プロジェクトに関連する人たちが多岐にわたり驚くことがありました。

SIer時代は、主に発注者との調整がほとんどで、その先の業務部や他システム担当者との調整は社内SEに依存していました。

いざ自分が社内SEの立場に立つと、業務部や他システムの担当者、発注先ベンダー、パッケージの販売元など、本当に多くの人たちと円滑に関係構築する必要があり、コミュニケーション力の大切さを痛感しました。

2. 社内ユーザーとのコミュニケーション力|要望ヒアリングと関係構築のコツ

2-1. 要望ヒアリングは“聞き方”が9割

業務部門から「この業務が不便なので何とかしてほしい」と依頼されることがよくあります。

しかし、話をそのまま鵜呑みにしてシステム化してしまうと、本当に必要だった改善とはズレてしまうケースもあります。

重要なのは、「なぜそうしたいのか」「どんな背景があるのか」を丁寧に聞き出す力です。

私も実際に、この画面に○○を表示する機能を実装してほしいというユーザーの意見に対して、背景や理由を深堀することで、他の機能で代替可能であり実装する必要がないという結論に至ったものがあります。

必要のない機能の実装は、本当に必要な機能の構築に必要な工数を無駄に使ってしまうことになります。

社内SEが背景を踏まえてしっかりとユーザーが何を実現したいのかをヒアリングすることで、より良い業務要件定義を行うことができると考えます。

2-2. 現場と仲良くなるのも仕事のうち

日頃からユーザー部門の方と良好な関係を築いておくことで、相談しやすい雰囲気をつくれます。

「社内SEの○○さんに聞けば何とかしてくれる」と思ってもらえれば、信頼も高まり、情報も自然と集まってきます。

これが将来の大きな改善案件につながることもあります。

ユーザー部門とシステム部門、システム部門内でも他システムの担当者と仲良くなっておくことで、ちょっとした相談ができるようになることは大きな利点です。

私としては、特に案件の立ち上げ時に、ユーザー部門が無理難題を言ってくることに対して、素早く進めるか立ち止まるかの判断ができる点が良い点だと感じます。

ユーザー部門の担当者に背景を軽く聞いてみたり、他システムの担当者に実現性を簡単にヒアリングすることで情報収集し、素早く意思決定を行うことができるので、簡単に相談できる社員を多く持てていてよかったなと感じます。

3. 経営層への説明と説得

3-1. 専門用語は使わず「経営目線」で話す

システムの提案や投資申請など、経営層にプレゼンする機会も社内SEにはあります。

このときに注意すべきなのが、**「専門用語を使いすぎないこと」**です。

経営層は、システムそのものよりも、**「それで何が変わるのか」「いくらかかって、どれだけの効果があるのか」**を重視しています。

相手の視点に立って説明する力が求められます。

私も転職してすぐに、品質評価報告を社内で報告した際に、詳細に説明しようとして細かな数値を載せすぎたり、専門用語を多用しすぎたりしてしまい、「結局、品質に問題があるのかないのか教えて」と指摘された経験があります。

その経験から、相手に伝えることを第一に、いかにシンプルに、いかに一般的に表現できるかもコミュニケーション力であると考えています。

3-2. 数字と効果をセットで語る

説得力を持たせるには、「処理時間が○分短縮」「年間で○○万円のコスト削減」といった定量的な効果を説明に添えると効果的です。

SIerに努めているあなたは十分に経験されていると思いますが、いくら定性的な評価を重ねても、求められるのは定量的な効果です。

私は、様々な角度から表現できる定量的な数値を見つけ出し、示すことができる能力も、コミュニケーション力の一つだと考えます。


4. ベンダーとのコミュニケーション術|発注側として信頼を得るには?

4-1. SIer時代の“発注される側”から“発注する側”へ

社内SEになると、SIerやクラウドベンダーに業務を依頼する立場になります。

このとき重要なのが、**「お金を払う立場としての交渉力」**です。

言いなりになるのではなく、自社の要望をしっかり伝え、妥当なコストで必要な成果を得るためのやり取りが求められます。

これは私もですが、SIer時代に見積もりをしたことがあるとベンダーから出てきた見積もりの裏を読んでしまうことがあるので注意が必要です。

明らかに感覚よりも高いと感じた場合でも、「リスクバッファをいくらか積んでいるのかな」「新人を充てるから余計にバッファを持たせているのかな」など、不要な背景を読んで納得してしまいがちです。

立場が発注者となっていることを意識し、いくらの予算でどこまでベンダーにやってほしいのかを明確にすることで、ベンダーとの交渉力を磨いていきましょう。

4-2. 設計内容を理解できることが信頼につながる

SIerとのコミュニケーションでは、相手が作成した設計書やスケジュールを確認する場面もあります。

その際、技術的な内容をきちんと理解できるかどうかで、プロジェクトの品質にも関わってきます。

「この担当者はわかっている」と思われることで、対応もスムーズになります。

私は社内SEはユーザー部門とSIerの中間でどちらにも詳しい人であるべきだと考えています。

ユーザー部門からは業務について理解している。SIerからはシステムや用いている技術について理解していると思われるようになることで、どちらとも円滑にコミュニケーションをとることができるようになります。

5. トラブル対応時の連携と判断力

5-1. 全体を見ながら冷静に対応する

システム障害などのトラブル時には、迅速な情報共有と状況を見極める冷静な判断力が求められます。

現場・上司・ベンダーなど、複数のステークホルダーが関わる中で、誰に何をどのタイミングで伝えるかがポイントです。

5-2. 誰に相談するかを見極める

技術的な問題であっても、関係部署との調整が不可欠な場合があります。

このとき、**「誰に相談すれば一番早く解決するか」**を見極められると、影響範囲を最小限に抑えることができます。

私は、プロジェクトを進める中で技術的な課題にあたったときに、○○システムで似たようなことがあったから担当者の△△さんに聞いてみるということができる人を見ると、社内SEとしてとても頼りがいがあるなと感じます。

私もそうなれるように、社内の様々なメンバーと会話して情報収集をするように心がけています。


6. 社内SEを目指す人へのメッセージ

社内SEの仕事は、技術とコミュニケーションの両立が求められる奥の深い職種です。

SIer出身の方にとっては、最初は戸惑うことも多いでしょう。

しかし、日々のやりとりの中で少しずつ力をつけていけば、信頼される存在になれます。

そして、ユーザーや現場から「ありがとう」と言ってもらえる仕事は、大きなやりがいにもなります。


7. まとめ|社内SEは“技術力+コミュニケーション力”がカギ

社内SEに必要なコミュニケーション力は、場面によって異なりますが、共通しているのは**「相手の立場に立つこと」**です。

  • 社内ユーザーには、業務理解と共感
  • 経営層には、効果と数字で伝える
  • ベンダーには、要件を明確に伝え交渉する
  • トラブル時には、冷静な連携と判断

これらを意識することで、技術力だけでは到達できない成果を出せるようになります。

社内SEとして活躍したい方は、ぜひコミュニケーション力の向上も意識して取り組んでみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました